最終回企画第二弾!
泉英昌氏から届いた10行詩の連作です。
1 木曜日
2 準備された
3 回復
4 蝉しぐれ
5 サクランボ

最終回


No.108 二年前の写真



朝の台所に、蟻の行列が動いていた。
たどっていくと、ベランダのイチヂクの鉢裏に巣があった。殺虫剤で始末して、サッシの隅の出入り口らしき所にも撒いておいた。

次の朝、やっぱり台所に動いていた。
行列をたどっていくと、なんとバスタブの横の隙間に消えていく。そんな所に?
きのう、出入り口をふさいだから、部屋の中にいた蟻たちが出られないまま、しかたなく巣くったのだろうか。でも、女王蟻はいないだろうに。落ち武者の村みたいなもんだな。
この際だから、風呂場のはずせるパーツを全部はずして大掃除した。それで決着はついた。

次の日、仕事をしていると、パソコンの脇を蟻が一匹、うろうろと通過した。もう帰る巣はない。ただ、命をまっとうしようとしている。

「10行トリップ」も、たどり着くべき場所のないまま、うろうろと書きつづけ、撮りつづけてきました。スタートしたのは、2004年6月7日。ぼくの43歳の誕生日でした。そして2年、108篇。どこにたどり着いたわけでもなく、まだ途中のままですが、最終回です。

おつきあいくださったり、応援してくださったり、感想をくださった方々、ありがとうございました。こんなふうに「ありがとう」を言えることが何よりの収穫です。

そして、ぼくはしぶとい最後の一匹の蟻。さ来週からは新シリーズを始めます。
コリずにおつきあいくださいますように。

2006年7月10日   泉英昌

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