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書名

森のバルコニー

著者
ジュリアン・グラック=著 中島昭和=訳
定価
2,500円+税
判型・造本
四六判、272頁
ISBN
978-4-89257-139-8

ナチス侵攻前、森深い北仏アルデンヌに動員された兵士たちの、研ぎ澄まされた意識が捉えた終極の予兆ーー 「現実への回帰」と見られ、「客観的手法への転回点」と評された傑作長篇。

 

「……兵士たちは、家族から遠く、本来の職業からも離れ、日常的ないっさいの束縛を脱していた。言ってみれば一種の『休暇』の状態のなかにいたのである。戦争は布告されていながら、しかし実際に始まってはいない。……いつ、どのように『出現』するか予測不可能な不安にさらされながら『待つこと』を余儀なくされている『猶予』の時期。……かつてグラックが小説的想像のなかで身を置いてきた状況が、そのまま『奇妙な戦争』という歴史の現実のなかに出現したのである」(訳者解説)

 

デザイン 黒洲零

(2023年4月末発売予定)

著者詳細

ジュリアン・グラック

1910年、仏西部のサン=フローラン=ル=ヴィエイユ生まれ。ナントの高校で教鞭を取りながら執筆活動をおこない、1938年、第一作『アルゴールの城にて』を発表。アンドレ・ブルトンに賞賛される。第二次世界大戦で動員されるが、捕虜となり解放される。1951年、『シルトの岸辺』を発表、ゴングール賞受賞作に選ばれるが、受賞を拒否。著作に『森のバルコニー』(1958) 『半島』(1970)など。2007年死去。

 

翻訳 中島昭和

1927年生まれ。1951年、東京大学文学部仏文科卒業。中央大学名誉教授。訳書にジュリアン・グラック『半島』(共訳)『偏愛の文学』、ベルナール・パンゴー『原初の情景』(白水社)、ジィド/マルタン・デュ・ガール『往復書簡』(共訳、みすず書房)、ミシェル・ビュトール『段階』(竹内書店)、フランソワ・モーリアック『夜の終り』(集英社)など。

 

書評一覧

日本経済新聞夕刊(5月11日)「目利きが選ぶ3冊」で書評掲載されました。(評者:陣野俊史氏)