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書名

ハ長調のキャリア

著者
ジェイムズ・M・ケイン=著 田村義進=訳
定価
2,700円+税
判型・造本
四六判、並製、256頁
ISBN
978-4-89257-165-7

突然はじまった、オペラ歌手としての人生(キャリア)ーー

大恐慌のニューヨークで、バリトンの才能を見出された男の冒険、

欲望と愛憎を描いた異色の傑作小説。

 

大恐慌のニューヨークで仕事が入らない土建業者・レナード。上流階級出身で美しく、我儘な妻・ドリスの言いなりの彼は、オペラ歌手志望のドリスを手助けするうち、ひょんなことからレナード自身の歌手としての才能を見出される。
彼の隠れた才能を発見する人気歌手のセシルは、レナードを愛し、レナードはセシルに導かれてバリトン歌手の道を歩み始め、評判を得るが……


本邦初訳
解説 藤谷治


「デビュー作から遺作まで、ケインは一貫してファム・ファタールに翻弄される人間の物語を書いてきた。そして『ハ長調のキャリア』ではその同じ構図が笑いを呼ぶ。だが僕は、この作品でケインがセルフ・パロディを書いたとは思わない。ケインは知っているのである。そもそも「ファム・ファタールに翻弄される人間の物語」というものが、本来的に喜劇を内包しているということを」(藤谷治 本書解説)


装幀 黒洲零
(2026年1月下旬発売)

 

 

著者詳細

ジェイムズ・M・ケイン(James M.Cain 1892-1977)

1892年、メリーランド州アナポリスに生まれる。父親はワシントン・カレッジ学長、母親は元オペラ歌手。修士号を取得し、ジャーナリストとして活動。兵役に就き、第一次世界大戦に従軍した。1928年、短篇小説「パストラル」が雑誌掲載され、小説家としてのデビューとなる。1931年、南カリフォルニアに移住し、映画脚本の仕事に携わる。1934年の初めての長篇小説『郵便配達は二度ベルを鳴らす』がベストセラーになる。『殺人保険』『ミルドレッド・ピアース』など。1977年没。

 

翻訳 田村義進

1950年、大阪生まれ。金沢大学法文学部中退。日本ユニ・エージェンシー翻訳ワークショップ講師。訳書にジム・トンプスン『殺意』『脱落者』『テキサスのふたり』(小社刊)、アガサ・クリスティー『白昼の悪魔』、アビール・ムカジー『阿片窟の死』(早川書房)、スティーヴン・キング『書くことについて』(小学館)など。

 

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