「大衆社会と民主主義が組み合わされる社会の続くかぎり、本シリーズは決して色あせることはない。草森がナチスを肴に叙述していることは、今日も世界のあちこちで繰り返されていることだからである。宣伝が絶対である。このテーゼを片時も忘れないようにしよう。」片山杜秀(本書解説より)
歴史上類を見ない戦禍をもたらしたナチスが、人々の圧倒的な支持を集めて政権を掌握し、独裁政権を樹立するに至るには、強力な宣伝(プロパガンダ)の技術と実践がありました。歴史を繰り返さないために、今こそ、その手口を知らなければなりません。
万巻の書を博捜し、多岐にわたるジャンルを自在に越境した著者による、ナチス研究の名著『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ』全4巻を、満を持して刊行いたします。 第1巻となる『宣伝的人間の研究 ゲッベルス』では、『勝利の日記』(原題『カイザーホーフから首相官邸へ』、1939年)の分析からフルトヴェングラーとの政治利用の攻防まで、厖大な資料から宣伝相ゲッベルスの真実と、プロパガンダの手法を読み解きます。
思想史研究家・片山杜秀氏による書き下ろし解説「宣伝が絶対である」を収録。 気鋭のデザイナー・加藤賢策氏(laboratories)によるデザインにもご注目ください。
(2015年7月7日発売)
草森紳一
1938年、北海道生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒。編集者を経て文筆家に。 1973年、『江戸のデザイン』(駸々堂出版)で毎日出版文化賞受賞。ライフ ワークである李賀、副島種臣から、デザイン、絵画、写真、広告、建築、マンガまで、さまざまな分野を跨ぎ、先駆的な著作を著した。 2008年3月歿。著書に『ナンセンスの練習』(晶文社)、『見立て狂い』(フィルムアート社)、『荷風の永代橋』(青土社)、『随筆 本が崩れる』(文春新書)、『中国文化大 革命の大宣伝 上下巻』(芸術新聞社)、『李賀 垂翅の客』(芸術新聞社)など多数。