石炭の町を襲う怪事件、地下都市の繁栄を脅かす敵の正体とは―!?
ヴェルヌが自ら旅して風光明媚な土地の魅力を堪能したスコットランド。炭鉱を舞台に展開する、手に汗握る地下都市の物語!
特別寄稿エッセイ 小野耕世
書容設計 羽良多平吉
ジュール・フェラーによるオリジナル挿画40点以上を収録。
「最初の石炭の起源をめぐる部分で、いつもながらに時間の大きな流れを説明したヴェルヌは、最後の部分では、どこか望遠レンズをぐっと引いて、あたかも宇宙空間に浮かぶ青い地球の遠景を見せているようでもあると、私は勝手に思いこんでみる。 それは、ジュール・ヴェルヌの小説を読むたびに共通して感じる地球への郷愁と、未来への想いなのだろう。」 (小野耕世 本書寄稿エッセイより)
(2013年12月30日発売)
ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)
1828年、フランス・ナントに生まれる。子供の頃から冒険小説や旅行記に親しむ。法律の勉強のためパリに下宿している頃、アレクサンドル・デュマ父子と出会い、劇作家を志す。1851年、「家庭博物館」誌に短篇「メキシコの惨劇」を発表し、小説の執筆に取り組む。1863年に刊行した冒険小説『気球に乗って五週間』が大評判となり流行作家となる。『海底二万里』『八十日間世界一周』『月世界へ行く』など科学冒険小説の傑作を生涯に渡って発表した。H・G=ウェルズに並ぶSFの始祖として知られ、その作品は多くの人に愛され、読み継がれている。1905年没。
[翻訳]新庄嘉章 1904年、広島県生まれ。早稲田大学仏文科卒業。仏文学者。早稲田大学文学部教授を経て、名誉教授。アンドレ・ジッド『狭き門』(河出書房)、レイモン・ラディゲ『肉体の悪魔』(早川書房、のち新潮文庫)など訳書多数。