書籍詳細


amazonで購入する
amazon.co.jp
書名

野呂邦暢小説集成5 諫早菖蒲日記・落城記

著者
野呂邦暢=著 
定価
3300円+税
判型・造本
四六判、上製、608頁
ISBN
978-4-89257-095-7

幕末の諫早に生きる少女の瑞々しい視線、

潰走の船路に幻出する不知火、

籠城の衆の鬨―

 

故郷・諫早の歴史を繙き、のびやかな筆致で新境地となった、傑作小説群

 

初単行本化歴史小説短篇を四篇収録!

 

<第五巻>諫早菖蒲日記・落城記 2015年5月2日発売

「諫早菖蒲日記」「花火」「落城記」「死人の首」(*)「筑前の白梅」(*)「不知火の梟雄」(*)「平壌の雪」(*)

(*は単行本未収録作品)

エッセイ 池内紀

解説   中野章子

 

「語り手を一人に限定するのは、一点集中の語りであって、この技法はカメラのファインダーに似ている。一点の覗き穴が威力を発揮する一方で、見る世界が小さく限られる。……野呂邦暢はつねに試みの尺度をきびしく設定した。『初めての歴史小説』にとりわけはっきりと見てとれる。四百枚をこえる三部作が、みごとに一つの覗き穴の視点に合わされ、その遠近法でもって、きびしく構成されている。語られる人と語り手が、たえず相手を見つめ合い、それが一種緊迫した生理的リズムを生み出してくる」(池内紀 本書掲載エッセイより)

 

監修:豊田健次

書容設計 editorial design:羽良多平吉

 


著者・執筆者・監修者

野呂邦暢

1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。

 

エッセイ 池内紀

1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者、エッセイスト。主な著書に『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『二列目の人生』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)など。訳書に『カフカ小説全集』(全六巻、日本翻訳文化賞)、ゲーテ『ファウスト』(毎日出版文化賞)など。山や温泉、自然にまつわる本も、『日本の森を歩く』『ニッポンの山里』など多数。

 

各巻解説 中野章子

1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。

 

監修   豊田健次

1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。

 

 

書評一覧