「私は本当はここにはいない」
孤独な少女の日常に不安な幻想が浸み込む−−アンナ・カヴァンによる、繊細で美しい短篇小説集。
「カヴァンが夢見る世界は、自分自身も含めた人間すべての消えた、清潔な世界だ。人間のいない世界。」(青山南 本書解説より)
解説 青山南
書容設計 羽良多平吉
(2013年4月27日発売)
アンナ・カヴァン(Anna Kavan 1901-1968)
1901年、フランス在住の裕福なイギリス人の両親のもとにヘレン・エミリー・ウッズとして生まれる。1920年代から30年代にかけて、最初の結婚の際の姓名であるヘレン・ファーガソン名義で小説を発表する。幼い頃から不安定な精神状態にあり、結婚生活が破綻した頃からヘロインを常用する。精神病院に入院していた頃の体験を元にした作品集『アサイラム・ピース』(40) からアンナ・カヴァンと改名する。終末的な傑作長篇『氷』(67)を発表した翌年の1968年、死去。
翻訳 千葉薫
1951年、東京生まれ。東京外国語大学大学院修了。訳書に、デイヴィッド・ジェロルド『ムーンスター・オデッセイ』(共訳)、マイクル・コニイ『ハローサマー、グッドバイ』など。