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書名

野呂邦暢小説集成4・冬の皇帝

著者
野呂邦暢=著 
定価
3300円+税
判型・造本
四六判、上製、616頁
ISBN
978-4-89257-094-0

「車の列は川に似ている」

都会のガソリンスタンドで働く青年の彷徨、漆黒の夜空と動乱の幻像―

自伝的表題作からミステリーまで、芥川賞受賞後に手がけた多彩な作品群

 

<第四巻>冬の皇帝 2014年11月30日発売

「飛ぶ少年」(*)「剃刀」(*)「冬の皇帝」「高く跳べ、パック」「穴」(*)「もうひとつの絵」「鳩の首」「蟹」「失踪者」(*)「魔術師たち」(*)「回廊の夜」「敵」(*)「まさゆめ」(*)「朝の声」「歯」「とらわれの冬」

(*は単行本未収録作品)

エッセイ 川本三郎

解説   中野章子

 

「他人の目で町を見る。第三者の視点で町の風景を見る。観察する。野呂邦暢は諫早の町にあっていつもアウトサイダーの位置に自分を置いた。よそ者として生きる。そこから見えてくる風景を心にとめてゆく。そこに野呂邦暢の新しさ、面白さがあった。……町を歩きながら、旅人の目で風景を見ている。散策者として静かな孤独を楽しんでいる。社会からすこしはずれたところにいる人間の眼前に忘れられたかのような町の小さな風景がゆっくりと姿を現わす。」

(川本三郎 本書掲載エッセイより)

 

監修:豊田健次

書容設計 editorial design:羽良多平吉

 


著者・執筆者・監修者

野呂邦暢

1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。

 

エッセイ 川本三郎

1944年、東京生まれ。評論家。東京大学法学部卒業。1991年、『大正幻影』(新潮社)でサントリー学芸賞、2003年、『林芙美子の昭和』(新書館)で毎日出版文化賞、桑原武夫学芸賞、2012年、『白秋望景』(新書館)で伊藤整文学賞を受賞。文芸評論、映画評論、翻訳、エッセイなど著書多数。

 

各巻解説 中野章子

1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。

 

監修   豊田健次

1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。

 

 

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