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書名

野呂邦暢小説集成7 水瓶座の少女

著者
野呂邦暢=著 
定価
3600円+税
判型・造本
四六判、上製、648頁
ISBN
978-4-89257-097-1

謎を秘めた同級生の少女、 少年の思慕と死への衝動―—

幻想小説・ジュニア小説など、 初単行本化作品を中心とする 多彩な後期傑作群

 

初単行本化作品 『水の中の絵馬』『神様の家』『黒板』『島にて』ほか 全十三篇収録

 

<第七巻>水瓶座の少女 2016年5月30日発売

「水瓶座の少女」「文彦のたたかい」「うらぎり」「真夜中の声」「弘之のトランペット」「 公園から帰る」「島にて」(*)「顔」(*)「飛ぶ男」(*)「水のほとり」(*)「ドライヴインにて」(*)「赤毛」(*)「神様の家」(*)「黒板」(*)「公園の少女」(*)「水の町の女」(*)「幼な友達」(*)「ホクロのある女」(*)「水の中の絵馬」(*)

(*は単行本未収録作品)

エッセイ 坪内祐三

解説   中野章子

 

「……『別冊文藝春秋』や『別冊小説新潮』や『別冊小説宝石』はともかく『問題小説』や『SFアドベンチャー』、さらにシブいところでは『太陽』や『カイエ』(『ユリイカ』と並ぶカルチャー誌)などに執筆しているのだ。ただし多作であっても作品の質に乱れは感じない。共通するのは夫婦を中心とした男女の心のスレ違いだ。……野呂はなぜ忙しくなってしまったのだろう。それはまさに生き急ぎと言って良い忙しさだった。それを解くカギがこの巻の小説群にある」(坪内祐三 本書掲載エッセイより)

 

監修:豊田健次

書容設計 editorial design:羽良多平吉

 


著者・執筆者・監修者

野呂邦暢

1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。

 

エッセイ 坪内祐三

一九五八年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修了。雑誌『東京人』編集部を経て、評論活動を始める。二〇〇一年、『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』(マガジンハウス)で第十七回講談社エッセイ賞受賞。『ストリートワイズ』(講談社文庫)、『一九七二―「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』(文春文庫)など著作多数。

 

各巻解説 中野章子

1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。

 

監修   豊田健次

1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。

 

 

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