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書名

野呂邦暢小説集成8 丘の火

著者
野呂邦暢=著 
定価
3600円+税
判型・造本
四六判、上製、680頁
ISBN
978-4-89257-098-8

激戦地の生還者が残した手記、「新型爆弾」の 鋭い青紫色の光――

戦場の真実を探る表題作、遺稿を含む晩年の傑作群。

 

初単行本化作品 『青葉書房主人』『廃園にて』『足音』収録

 

<第八巻>丘の火 2017年3月1日発売

「藁と火」「青葉書房主人」(*)「廃園にて」(*)「足音」(*)「丘の火」

(*は単行本未収録作品)

エッセイ 陣野俊史

解説   中野章子

 

「言葉を持つことを特段必要としていない人々が書いた『戦記』こそが、戦争の、あえて言えば『真実』を含んでいるのではないか――野呂はそんなことまではさすがに書いていないけれど、作家ではない人々の描く『戦記』への深い関心は、野呂邦暢独特のものだ。戦争が終わって、やむに已まれず書いてしまった『戦記』にこそ、戦争の本当の姿が見え隠れしているのであり、それを何らかの形で自分の小説の中に定位したい――野呂はいつしかそう考えるようになったのではないか、と思う。『丘の火』はその具体的な、見事な結晶である。」(陣野俊史 本書掲載エッセイより)

 

監修:豊田健次

書容設計 editorial design:羽良多平吉

 


著者・執筆者・監修者

野呂邦暢

1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。

 

エッセイ 陣野俊史

一九六一年、長崎市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。文芸評論家・フランス文学者。フランス文学、日本文学、サッカー、音楽など多岐に渡る領域で批評活動をおこなう。著書に『じゃがたら』(河出書房新社)『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)『テロルの伝説 桐山襲烈伝』(河出書房新社)など。

 

各巻解説 中野章子

1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。

 

監修   豊田健次

1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。

 

 

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