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書名

サイクリング・ユートピア

著者
フランク・パターソン=画
定価
4,500円+税
判型・造本
A4判、上製、128頁
ISBN
978-4-89257-078-0

世界中のサイクリストを魅了したサイクリング・ユートピア

神の手が描いた、古き良き時代のイギリスの田園風景と自転車で遊ぶ人びと

夢見るサイクリストに捧ぐ  

 

古き良き時代のイギリスの田園とサイクリングをこよなく愛し、自ら自転車に乗ってその様々な情景を飽くことなく描き続けたパターソン。彼の自然とサイクリングに対する並々ならぬ愛着と造詣は、天性の技量と相まって、生涯2万数千点ともいわれる比類なきペン画を生み出した。美しく、かつ精緻に描写された19世紀末から20世紀中庸のイギリスの豊かな田園風景や古風な建物は、100年を経た今なお、風雪に耐えて嘗ての面影を留める場所も少なくない。本国はもとより、世界中のサイクリストたちに、そして自転車に乗らない人々にとっても、パターソンのペン画は、そこはかとない郷愁や憧憬 を抱かせる。

 

装幀:佐々木暁

(2013年2月下旬発売)

著者詳細

フランク・パターソン(Frank Patterson)

1871年、イギリスの港町ポーツマスに生まれる。父親は海軍将校であり、年の離れた兄二人も家系に従い海軍に入隊していたが、パターソンは幼い頃から自然やスケッチを好み、地元の美術学校に入って絵を学んだ。 1890年頃、画家を目指してロンドンに出るが志を得ず、しばらくは広告スタジオに勤務して家具や建物のイラストを描いて生計を立てた。このサラリーマン生活の余暇に、当時流行の自転車に乗って郊外の田園や村々をサイクリングするようになった。間もなく、雑誌『Cycling』に送ったペン画が当時の編集者ウォルター・グローブズに認められる。以後、同誌のほぼ毎号、後にはサイクリング・ツーリスト・クラブ(CTC)の雑誌『CTC Gazette』などに、60年近くにわたって多数のペン画を描き続けた。 1895年、最初の妻エミリ・ルイザ・ギャモンと結婚。1898年、サセックス州の片田舎に廃屋同然だった“ペア・ツリー・ファーム(Pear Tree Farm)”を見つけ、修繕して移り住む。この電気も水道もないファームでの自給自足的生活が彼の終生の基盤となり、仕事場となった。1906年、膝に怪我を負い、自転車に乗れなくなるが、写真や資料、そして、かつての記憶をもとに描くペン画への情熱は衰えることはなかった。1920年、二女を残して妻エミリ病死。1921年、前妻の家政婦として雇っていた若い地元女性アグネス・ゴードンと再婚。彼女はのちに二男をもうける。1934年、通信課程の美術学校を始める。1945年、サイクリングに対する長年の功績により、“ビドレイク記念銘板”(Bidlake Memorial Plaque)を贈呈される。 1948年、テンプル・プレス社は、1893年以降『Cycling』、『The Motor』、『The Light Car』に掲載された5000点におよぶ作品のなかから150点を選び、『パターソン・ブック』として出版した。また、サイクリングに関する人物名鑑 『The Golden Book of Cycling』に彼を収録した。 1952年、生まれ育ったポーツマスにほど近いチチェスターのセント・リチャーズ病院にて死去。享年81歳。

 

書評一覧

◆毎日新聞2013年3月17日(日)朝刊
「微妙にカーブする無数の緻密な線描によって、自転車のある情景が繊細に再現される。雲や石畳みの垣根にさえも、田舎暮らしの喜びがあふれている」