アメリカ南部の深い森の中、狂信的な大伯父に連れ去られ、預言者として育てられた少年の物語。
人間の不完全さや暴力性を容赦なく描きながら、救済や神の恩寵の存在を現代に告げる、素晴らしい小説を生み出したフラナリー・オコナー。本書は、惜しくも39歳で夭折したオコナーが遺した長篇小説だ。
人間の尊厳や精神の高みを描ききる傑作として、多くの方に読んでいただきたい一冊。
翻訳は佐伯彰一氏。オコナーの硬質な持ち味を伝える名訳。
書容設計 羽良多平吉
(2012年12月28日発売)
フラナリー・オコナー(Flannery O'Connor 1925-1964)
1925年、アメリカ・ジョージア州サバンナ生まれ。カトリック教徒として育つ。
1946年、短編小説「ゼラニウム」を雑誌に発表。25歳のときに紅斑性狼瘡を発症し、以後、病と闘いながら執筆活動をおこなう。南部のカトリック作家としての世界観と信念に貫かれた小説を世に送り出す。1964年、死去。