空から流れ出る、無音の白い瀑布が、 あらゆるものを呑み込んでいく――
旅の果てにたどりついた<管理者>の邸宅<鷲の巣>と、荒涼の地、命なき壮麗な世界。不意に空にあらわれる白い瀑布、非現実世界のサンクチュアリ――強烈なヴィジョンが読む者を圧倒する、カヴァンの傑作長篇、待望の本邦初訳!
Anna Kavan Collection
書容設計 羽良多平吉
(2015年10月下旬発売)
アンナ・カヴァン(Anna Kavan 1901-1968)
1901年、フランス在住の裕福なイギリス人の両親のもとにヘレン・エミリー・ウッズとして生まれる。1920年代から30年代にかけて、最初の結婚の際の姓名であるヘレン・ファーガソン名義で小説を発表する。幼い頃から不安定な精神状態にあり、結婚生活が破綻した頃からヘロインを常用する。精神病院に入院していた頃の体験を元にした作品集『アサイラム・ピース』(40) からアンナ・カヴァンと改名する。終末的な傑作長篇『氷』(67)を発表した翌年の1968年、死去。
翻訳 小野田和子
1951年生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。訳書にアーサー・クラーク&ポール・アンダースン『最終定理』、アンディ・ウィアー『火星の人』(以上、早川書房)、アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ『夜来たる』(東京創元社)、M・ジョン・ハリスン『ライト』(国書刊行会)など。