『曽根中生自伝 人は名のみの罪の深さよ』によせて
「曽根中生を見ずに昭和など語れるはずもない。そう確信していた者たちは、彼の自伝を読まずに昭和から平成への移行など語りえないという苛酷な現実に、粛然と襟を糺す。必読!」 蓮實重彦(映画評論家)
「とてつもない本である。演技、演出、俳優についてのおそるべき洞察はいまこそ知るべき知に溢れている。
則文さんと曽根さんが同じ年に逝ったことの偶然を決して偶然とばかり考えられない人間もいる。
それはかれらが不断の現在としてあったことを知る者たちだ。
だから冥福を祈るなどと悠長なことを言う気はない。
曽根監督の死よりもその遺作のように出版される書物こそ本年度最大の事件となるだろう。曽根中生は日本映画の現在のはらわたである。」
青山真治(映画監督)
「いっきに読了。実に刺激的で面白い。この監督の映画を改めて見たいと思う。」
小野耕世(評論家)
*キネマ旬報10月下旬号
「面白い。中(抜け、行方不明の人)生ってありなのだな。」
滝本誠(評論家)
*キネマ旬報10月上旬号
「これは驚くべき本である。一読してわかるのは、曽根がいかに鋭利で恐ろしい人間だったかということである。」
柳下毅一郎(映画評論家、特殊翻訳家)
*『映画秘宝』2014年11月号
「自伝エッセイと作品インタビューから成る。エッセイは、文字による曽根映画そのもの。断片が無造作にぶつかり合い、編集で安定した物語が紡がれることのない、あの非情で暴力的で儚い曽根作品の世界がここにある。一方、よき理解者によるインタビューでは、曽根のあまりに率直な映画観が披露される。助監督についた鈴木清順作品への読みには感服させられ、脚本を書いた大和屋竺や田中陽造の資質についても鋭利な分析が照射される。自作に対する冷酷なまでの自己診断は圧巻だ。まるで、彼岸から聴こえてくる声を思わせるが、本の完成の直後に著者は旅立った。 」 筒井武文(映画監督)
*『フリースタイル』27号
「この自伝を読んで、曽根さんとの距離が近くなった気がしたんですよね。曽根さんを主人公にして映画にしたくなるような感じがしました。幼少期の話なんかは、気持ちがどんどん入っていくような書き方で、胸に迫ってきました。少年の頃から影がある人だったんだなとも思いました。」
片桐夕子 (女優)
*『週刊読書人』9月19日号