アルコール専門療養所の長い一日
”酒浸り(ウェット)”な患者と危険なナース
マーフィーの治療のゆくえは――
本邦初訳
解説 霜月蒼
アルコール依存症はトンプスンの宿痾だった――
強いて言えば諷刺小説と呼ぶべき小説だろう。……その中心に居座る「アルコール依存症(患者)」というテーマは、トンプスンという男の核心であり、決定的体験だった。本作で光るのは、さまざまなディテールや小さなエピソードであり、それをトンプスンは自身の見聞から引っぱってきただろうことは想像に難くない。……矯正施設《エル・ヘルソ》は、閉ざされた世界、トンプスンの脳内なのだ。(霜月蒼 本書解説)
装幀 黒洲零
(2017年11月1日発売)
*好評既刊*
ジム・トンプスン=著 小林宏明=訳
'20年代のテキサスの西端は、 タフな世界だった―― パイプライン工事に流れ込む 放浪者、浮浪者、そして前科者…… トンプスン、待望の本邦初訳!
解説 滝本誠
ジム・トンプスン(Jim Thompson 1906-1977)
1906年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。油田労働者、ベルボーイ など、職業を転々とする。1942年、初の長篇を出版。1949年、初の 犯罪小説『取るに足りない殺人』を発表する。『おれの中の殺し屋』 (1952)など、ペイパーバック・オリジナルで作品を次々に発表する。 『現金に体を張れ』『突撃』(スタンリー・キューブリック監督作品) の脚本に参加。1977年没。
翻訳 高山真由美
東京生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒。訳書に、M・J・カーター『紳士と猟犬』、リサ・バランタイン『その罪のゆくえ』、リー・カーペンター『11日間』(以上、早川書房)、ハンナ・ジェイミスン『ガール・セヴン』(文藝春秋)、ポール・タフ『成功する子 失敗する子』『私たちは子どもに何ができるのか』(英治出版)など。