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書名

野呂邦暢小説集成9 夜の船

著者
野呂邦暢=著 
定価
3600円+税
判型・造本
四六判、上製、688頁
ISBN
978-4-89257-099-5

一艘の船が燃えている――

表現の原点となった散文詩、長崎原爆の傷痕を描く長篇「解纜のとき」など、未発表・未完作品中心に集成。

 

未発表作品「解纜のとき」「名医」「丘の家」収録

 

<収録内容>

「地峡の町にて」「夜の船」「海と河口」(*)「夕暮れ」(*)「田原坂」(*)「解纜のとき」(*)「名医」(*)「丘の家」(*)

(*は単行本未収録作品)

エッセイ 紀田順一郎

解説 中野章子

年譜/著作年譜/単行本書誌

 

「自衛隊の息苦しい演習場から諫早という美しき郷土への離陸によって、野呂は着陸点の見えない疎開派を脱し、新たな語り部としての地歩を固めようとしていたかに見える。しかし、その最終目的地がいずこであったか、想像することはむずかしい。……敢えて第二、第三のテイクオフに挑んだに相違ない野呂の歩みを思い描くとき、その早すぎた死がつくづく惜しまれてならないのは、私だけではあるまい。」(紀田順一郎 本書掲載エッセイより)

 

監修:豊田健次

書容設計 editorial design:羽良多平吉

 

2018年6月1日発売

 

野呂邦暢小説集成全9巻、完結

 

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著者・執筆者・監修者

野呂邦暢

1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。

 

エッセイ  紀田順一郎

一九三五年、横浜市生まれ。評論家・作家。慶應義塾大学経済学部卒業。評論活動のほか、創作も手がける。『幻想と怪奇の時代』(松籟社)で二〇〇八年度日本推理作家協会賞および神奈川文化賞(文学)受賞。『紀田順一郎著作集』(三一書房)、『日記の虚実』(筑摩書房)、『幻島はるかなり』『蔵書一代』(松籟社)など著作多数。

 

各巻解説 中野章子

1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。

 

監修   豊田健次

1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。

 

 

書評一覧

読売新聞西部版(6/30)、中日新聞・東京新聞(6/28夕刊)、毎日新聞西部版(6/24)、朝日新聞(6/20夕刊)、西日本新聞(5/27)に記事が掲載されました。
『週刊文春』6/28号に書評が掲載されました。
長崎新聞(7/23)「エッセー 小説のあいまに」(執筆:青来有一氏)で紹介されました。