「宣伝には歴史がそのつど孕んだ官能が出入りする。それは官能のモンスターをデ・モンストレートしてきた歴史なのである。そこには宣伝広報の正体がひそむばかりか、歴史の本質を見誤らせる魔術も出入りする。文化に仕掛けがあるとしたら、この本質と魔術の裏腹な関係をこそ議論しなければならない。…… このことを、宣伝広告社会の一角で仕事をしていた草森さんは、なにか自分が取り組むべき責任のように感じていたふしがある。」松岡正剛(本書解説より)
ヒットラーはまだ宣伝をつづけている――
ラジオ、映画、美術、建築、詩……侵蝕するプロパガンダ
松岡正剛氏による書き下ろし解説「文化のデモンストレーション」を収録。
<目次>
記念切手/ポスター/広告/マンガ/美術/建築/映画/放送/スポーツ/オリンピック/雑誌/文学 1 詩/文学 2 小説/文学 3 書簡
万巻の書を博捜し、多岐にわたるジャンルを自在に越境した著者による、ナチス研究『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ』シリーズ
1 宣伝的人間の研究 ゲッベルス 解説 片山杜秀 2015年7月発売
2 宣伝的人間の研究 ヒットラー 解説 池内紀 2015年12月発売
3 煽動の方法 解説 長谷正人 2016年5月発売
装幀 加藤賢策(LABORATORIES)
(2017年1月16日発売)
草森紳一
1938年、北海道生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒。編集者を経て文筆家に。 1973年、『江戸のデザイン』(駸々堂出版)で毎日出版文化賞受賞。ライフ ワークである李賀、副島種臣から、デザイン、絵画、写真、広告、建築、マンガまで、さまざまな分野を跨ぎ、先駆的な著作を著した。 2008年3月歿。著書に『ナンセンスの練習』(晶文社)、『見立て狂い』(フィルムアート社)、『荷風の永代橋』(青土社)、『随筆 本が崩れる』(文春新書)、『中国文化大 革命の大宣伝 上下巻』(芸術新聞社)、『李賀 垂翅の客』(芸術新聞社)など多数。