豪放な“爺”の人生訓(レッスン)、詐欺師の友人、喧噪のベルボーイ生活――
ノワールの鬼才が若き日々を綴った、抱腹絶倒の自伝的小説
従兄弟と仕掛けた壮大ないたずら、ネブラスカの“爺”の型破りな教育、独学で博識の父が辿った転落…ユニークな家族に囲まれて育った幼少期から、新聞社の雑用係、喜劇俳優、ベルボーイ、油井労働者など、職を転々とする青年期までの波乱万丈の日々。 トンプスンの創作の原点であり必読の書。
本邦初訳
解説 越川芳明
「かれは幼少時代から二十代初めまで、数々の悲惨な目に遭い辛酸を舐めてきた。そうしたエピソードを綴りながら、そこには暗い絶望がない。……トンプスンが祖父から受け継いだ、『ブラックユーモア』という人生の荒波を渡る手立ては、作家トンプスンの語りの強力な武器となり、物語の大きな魅力となっているのだ。」(越川芳明 本書解説)
装幀 黒洲零
(2019年7月30日発売)
*好評既刊*
ジム・トンプスン=著 小林宏明=訳
'20年代のテキサスの西端は、 タフな世界だった―― パイプライン工事に流れ込む 放浪者、浮浪者、そして前科者……
解説 滝本誠
ジム・トンプスン=著 高山真由美=訳
アルコール専門療養所の長い一日
”酒浸り(ウェット)”な患者と危険なナース
マーフィーの治療のゆくえは――
解説 霜月蒼
ジム・トンプスン=著 田村義進=訳
悪意渦巻く海辺の町ーー
トンプスン・ノワール、
鮮烈な傑作
解説 中条省平
ジム・トンプスン=著 黒原敏行=訳
殺人容疑者は十五歳の少年
ありきたりの日常に潜む狂気、
スキャンダラスな報道と捜査の行方は―
解説 吉田広明
ジム・トンプスン=著 小林宏明=訳
罠にはまったのはおれだった―
オクラホマの地主と娘、殺人事件の発生、そして先住民の儀式
白人貧農の父子は、憎悪の果てに
解説 福間健二
ジム・トンプスン=著 田村義進=訳
テキサスの西、ビッグ・サンド(大きな砂地)の町
原油採掘権をめぐる陰謀と死の連鎖、
未亡人と保安官補のもうひとつの顔――
解説 野崎六助
ジム・トンプスン(Jim Thompson 1906-1977)
1906年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。油田労働者、ベルボーイ など、職業を転々とする。1942年、初の長篇を出版。1949年、初の犯罪小説『取るに足りない殺人』を発表する。『おれの中の殺し屋』 (1952)など、ペイパーバック・オリジナルで作品を次々に発表する。 『現金に体を張れ』『突撃』(スタンリー・キューブリック監督作品) の脚本に参加。1977年没。
翻訳 土屋晃
東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒。訳書に、スティーヴン・キング『ジョイランド』、ジェフリー・ディーヴァー『限界点』(ともに文春文庫)、テッド・ルイス『ゲット・カーター』(扶桑社文庫)、エリック・ガルシア『レポメン』(新潮文庫)など。